2014年2月28日金曜日

資産の組み替え


 最近、「資産の組み替え」による不動産売買が活発になってきています。
収益性の悪い中古マンションなどを売却して、収益性の良い店舗などに
買い換えるというものです。

 しかし、私はこのような流れに疑問をもっています。
「収益性の悪い物件を売ることができるのだろうか?
また、収益性の良い物件を買うことができるのだろうか?」

 不動産売買ほど、需要と供給による価格曲線が明確な取引は
ありません。そのような状態で、都合の悪い物件を売却し、都合の
良い物件を購入するには・・・。

 ようやく答えが見つかりそうです。あと数件、具体的事例で検証したあと、
みなさんに発表したいと思います。ご期待ください。

それでは、前回の続きをお話しします。
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【-想像から創造への街創り-
  建築会社勤務から感じた、理不尽なしくみ】

 建築会社に勤務していたとき、私は主としてロードサイド店舗の営業
を担当していました。そして自分で言うのも何ですが、営業成績はなか
なか優秀で、社内ではトップクラスでした。トップになるには、ノルマを
クリアしなければなりません。当時は毎月のノルマを達成しようと、土地
オーナーにとってベストのプランではない、と自覚しながらも多額の借
り入れをしてもらい、店舗を建築していただいていました。しかしロード
サイド店舗の場合は、賃貸マンションなどに比べて建築費は安く、テナ
ントから建設協力金を預託してもらえるので借入金も少なく、しかも安
定した家賃が入ってきます。ですからリスクはあっても土地オーナーか
らは喜んでいただいていました。
 ところが時代はバブルの崩壊を迎え、その影響もあって、私が担当
したロードサイド店舗のテナントが途中撤退してしまうケースが頻繁に
みられるようになりました。土地オーナーには銀行からの借金だけが
残るという事態が生じるようになったのです。上司からは、「建物を解
体して、新しい物件を建ててもらうよう、説得するように」と指示が出さ
れました。しかしそれでは収入の道は閉ざされ、ローンだけが残って
困っている土地オーナーに、また借金を重ねさせてしまうことになります。
 そこで私は会社には内緒で、新しいテナントにその建物を解体する
のではなく再利用してもらうことを提案しました。もちろん無償でサービ
スをしたのですが、土地オーナーは新たな投資をしないでまた家賃
がはいってくるので、大変喜んでくれました。また途中解約の場合、テ
ナントからの建設協力金は土地オーナーが違約金(ペナルティー)と
して没収できると賃貸借契約書で決まっていたので、大きな問題には
なりませんでした。
 建築会社の利益を優先する考え方は、テナントを決める際も同じで
した。土地利用の依頼をいただき、テナントに出店意思の確認をする
ときには、その土地情報を一斉に数十社のテナントにファックスをしま
す。そして数社から出店の意向をもらうと「建築費で一番利益を上げ
られるテナント」を選んで土地オーナーに提案するのです。
 あらかじめ数社の中から土地オーナーに提案するテナントを決めて
いても、「土地オーナーに提案をするテナントはもう決まっています」
とは絶対に言いません。理由は二つあります。テナントに断わりを入れ
ると、土地オーナーのところに直接または他の業者と一緒に提案に行
く可能性があり、それでは競争相手をつくってしまうことになるからです。
もう一つの理由は、賃料を数社のテナントで競わせて、少しでも高い
建築費で土地オーナーに発注させたいからです。
 これまでに述べた「建築投資利回りの計算式」を思い出して下さい。
建築投資利回り=年間賃料÷建築費です。建築投資利回りを一定と
するなら賃料が多くなる程建築費が高くなります。建築費は建物図
面とその仕様(グレード)で決まるのが当然と考えるでしょうが、そういっ
た常識とは異なる独自の方法で建築費がはじき出されています。
 最終的に建築会社がテナントに対して「地主の判断で断られました」
と断った場合でも、実はその建築会社に門前払いされていることが少
なくありません。テナントからすればせっかく土地情報に対して市場調
査を行い、出店会議で決済をとっても、土地オーナーには提案さえさ
れず放っておかれることになります。また、建築会社は別のライバル
会社に「A社は100万円賃料を出してきていますが、110万円の賃料
を出してもらえるのなら、A社の替わりに御社を提案しますよ」と話を持
ちかけ賃料を競り合わせます。もちろんライバル会社の建築費はA社
を上回るものです。こうして跳ね上がった建築費は、土地オーナーの
借り入れを余議なくさせ、テナントには無理を強いる結果になります。
借り入れも高い賃料も、結局は建築会社の利益へと化けてしまうのです。
 どのような業種の店をオープンさせれば地域の人に喜んでもらえる
のだろう、などという街創りの考えもなく、ただ高い建築費のみを追求
するこのしくみは、ロードサイド店舗立地の異常な地価高騰を招きま
す。その高い賃料負担に耐えられないで中途撤退するテナント店の
多さの一因となってしまいました。

では次回は・・・

【-想像から創造への街創り-
       新しいしくみを創ろう】

についてお話しします。

居抜き店舗のreTENPO
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