2017年1月20日金曜日
新舞子浜
先週末の積雪の中、新舞子浜に今年の初サイクリング。
今回は、サイクリングより絶景写真を撮ることが目的でした。
日の出と干潮が重なる冬期に、幻想的な景色が現れます。
すばらしい景色でしたが、予想外の大雪でした。
それでは、前回の続きをお話します。
【- 子孫に土地を残す3つの原則 -
3つの原則でチェック! ここがポイントです。提案書・契約書の読み方】
●損益計算試算表(キャッシュフロー)の見方
提案書の核心はキャッシュフローです。営業マンの説明をひとおとり聞いて、独り眺めるその項目は、内部留保金でしょう。「毎月いくら手元に残るのか」「10年後はいくらなのだろう」「30年後は」とその数字を確認します。
商談は、内部留保金、いわゆる手残り金の額で進みます。複数の会社が訪問してくる地主さんのもとには、数多くの提案書が損益計算試算表があることでしょう。
見本のケースは初年度の手残り金は2719万円。月あたり226万円です。
「ひと月、あと50万円あれば、やってもいいのだが」そんな風におっしゃる地主さんもいらっしゃいます。
商談中、ほとんど話題の中心になるにも関わらず、この損益計算試算表は、根拠が曖昧な場合や、営業的な意図で現実的でない場合が少なくありません。中でも賃貸マンション経営に関しては、希望的観測で気休め程度のモノもあります。損益計算試算表の信頼度の程を確認するガイドとして、いくつかのポイントをあげたので、ご自分でご確認する時に活用してください。
仮に作成した見本は、先の提案書・事業計画書に添付された損益計算試算表です。
(1) 薔薇色の賃料収入
毎年2%ずつ複利で30年間上昇。空室率は賃料1が30年間100%15年経過した居室が100%空室なしで、しかも当初月200万円だった賃料収入は毎年2%賃料を値上げをした結果、263万円となっています。
あなたは、この数字をありえるものとして受け入れられますか。ひとつの目安ですが、入居率60%、10年以降は50%で設定しているものもあります。退出後、すぐ入居者が決まらず空室の時もありますし、入居していても滞納で回収できない場合もあります。
高い入居率から算出した手残り金額をあなたは信じられますか。
(2) 創業費の5年分割
建築後およそ1年間に現金で支払うはずの創業費が5年に分割されています。この表で見ると、初年度の内部留保金を大きく見せるための営業マンの工夫であることが、よくわかります。
(3) 税引後利益の表示
所得税の計算をまったくしていないにも関わらず税引後利益という名称なので、充分な説明がない場合や、あるいは説明後に地主さんが自分で書類を見る際、誤解を招きかねません。
(4) 建設協力金の据え置き期間
商談のポイントとなる初年度の内部留保金を大きく見せるため、据え置き期間が設定されていることがあります。現実には、据え置きすることはめずらしく、仮に据え置き期間を設定しても、地主さんがテナントに返済する総額に違いが出てくるわけではありません。
(5) 内部留保金累計項目の設定
内部留保金を累計することに、どんな意味があるのでしょうか。貯められるわけでもないのに、地主さんにとって、意味はありません。
営業マンが「建築費に3億円かけても、この試算では12年目には内部留保金が3億円を越します」と説明できます。「この試算では」という点がポイントで「必ず現実になるものではない」と言いつつも「3億円かけてもだいじょうぶ」という気分にさせます。表では、30年後の内部留保金累計は9億円を越しています。累計する意味のない数字でも見せられれば、心に残ります。
また、セールストークでよく使われるのが「平均内部留保金」です。30年間の内部留保金の合計を年度で割ったものです。これもまったく意味のないものです。平均することのメリットは、例えば見本のケースなら返済が終わったあとの16年から30年の手残り額の良い時期を加えることで、当初の数字をよく見せるためです。
建築会社やハウスメーカーはプロですから、あの手この手と考えてきます。よく見せるための悪意を感じるものも多々あります。
そもそも建築会社が、地主さんにこのような提案をすることが間違いだと私は思っています。建築会社は良い建物をより適正な価格で実現するところに事業の本分があるのではないでしょうか。建物のプランや仕様でなく、手残り金に終始する提案こそに問題があるのです。
…さて、次回は
【- 子孫に土地を残す3つの原則 -
3つの原則でチェック! ここがポイントです。提案書・契約書の読み方】
●契約書の見方
について、お話します。