2007年6月23日土曜日

ロードサイド店舗のケース



先日、43歳の誕生日を迎えました。会議終わりに社員がサプライズでささやかな誕生日パーティーを開いてくれました。誕生日を祝ってもらうのは、いくつになってもうれしいものですね。


それでは早速、前回の続き「ロードサイド店舗のケース」についてお話したいと思います。


●ロードサイド店舗のケース
高い建築費がこわい

 ロードサイド店舗とは、ジャスコやセブンイレブン、マクドナルド、すかいらーく、紳士服の青山、大型家電など道路に沿った土地に建っている駐車場付き店舗のことです。
 多くの女性が車を運転するようになり、ファーストフード店や大型スーパーなど、ロードサイドの店舗は今や増える一方です。映画館と併設した大型のロードサイド店舗には、土曜・日曜には家族連れがどっと集まり、平日でさえも主婦や学生がショッピングに、映画鑑賞にとやってきます。
 モノを見る目を持ち、結婚していてもぬかみそ臭くはなりたくない、そんなふうに考える若い女性たちは、生活感あふれる駅前の商店街よりも、必要なものが全部そろうスーパーで買い物するのが普通です。また、映画、音楽、本と文化的なものに惹かれ、ファッションやインテリアにもこだわります。ファッション性のない店には、彼女たちの足はあまり向きません。
 また家族や友人と外食をする機会も多くなりました。そんな時は近所の店ではなく、郊外のカジュアルレストランや和風レストラン、あるいは大型店の中にあるレストランに行く人もいるかもしれません。
 このような時代の流れを考えた時、ロードサイドに土地があるなら、テナントと契約するのはベストな道だと考える方も多いのではないでしょうか? 賃貸マンションと異なり、テナントはあらかじめ決まっているし、建築費もマンションよりはるかに安いのでリスクも小さいから安心・・・・・・?
 いいえ、ここにも大きな落とし穴があります。何も知らないでいると、無理な借金を背負ってしまう可能性が潜んでいるのです。
 ロードサイド店舗の場合、確かにあらかじめテナントは決まっています。けれど、土地オーナーは単に土地を貸すのではありません。テナントが望む店を建てなければならないのです。多くのテナントはチェーン店で、坪数も店の図面も決まったものがあります。そして、建築費用に充当する「建設協力金」を出してくれます。じゃあ安心だ、問題ない、と思いますか? いいえ、まったくそうではありません。
 その一例をあげると、建築会社から紹介されたテナントと20年の契約をした土地オーナーがいました。テナントを紹介してくれる条件に、建築は特命(※注1)で発注することになりました。こうなると、建築費用は建築会社の意のままになります。テナントは、店舗の建築費用に充当する「建設協力金」を出しますが、建築会社は、それ以上の建築費を要求。その結果、土地オーナーは銀行で3,000万円のローンを組むことになりました。
 この3,000万円は、当然テナント賃料のアップにもつながります。お店の経営にはゆとりがなくなり、とうとう7年目で撤退せざるをえなくなりました。「建設協力金」はテナントが放棄するという特約のため、返さなくてよいものの、土地オーナーには多額のローンと他のテナントでは利用出来ない建物だけが残ってしまいました。
 一体この先、多額の借金をどうやって返せばよいのでしょう? 建築会社に相談すると、「建物を解体して、別の店舗を探しましょう」。そして、くり返される特命発注→高額な建築費→建築費のための新たなローン。利益を上げるのは建築会社ばかり。競争見積もりのない「特命発注」という日本独特の不透明なしくみが、何人もの土地オーナーを苦しめています。

(※注1)特命発注工事とは、
本来は『他社との競争見積りを行わずに、特定の信頼関係のある工事会社に、予算内に納まれば注文します。』という意味ですが・・・?

特命になる理由:有力者や銀行、農協からの紹介。
        その会社や系列の会社が入居保証や一括借上げをする。
        テナントを見つけてきた。
        立退き交渉に協力した。

特命になると:有力者や銀行、農協への謝礼を工事費に
        入居保証や一括借上げの将来のリスクを工事費に
        テナント付けをした優先権を工事費に
        立退き交渉に要した手間とコストを工事費に
             ↓
            上乗せ

この他に、工事費の上限を決められた指値発注や、義理で赤字覚悟で受注する工事も『特命』と呼ばれています。

次回は、ロードサイド駐車場のケースについてお話したいと思います・・・


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