2016年10月31日月曜日

第6回大阪マラソン



無事完走しました。
といっても、フルマラソンではなく
8.8㎞のチャレンジランです。


ランナーの1割くらい?が外国人という印象でした。
お祭り気分で楽しいイベントです。
もちろん、経済効果もバッチリ。







 





それでは、前回の続きをお話します。




【- 子孫に土地を残す3つの原則 -
 3つの原則でチェック! ここがポイントです。提案書・契約 書の読み方】

●提案書・事業計画書の見方



 建築会社や住宅メーカーの営業マンが地主さんへの説明のために作成する書類には、提案書、経営試算書、事業計画書などがあります。会社によって名称は異なりますが、どの会社も基本のフォーマットがパソコンにあり、いくつかの項目を入力すれば、地主さんに提案できる書類ができるように整っています。

 数字がたくさん載っており、見慣れていないと目がチカチカする書類ですが、たいていの場合、営業マンが地主さんに見せたいところは1カ所なので、全体の説明をこと細かにすることは少ないでしょう。

「つまりですね、重要なのはここです」と言いながら内部留保金の項目を指します。毎月の賃料かはわかっているが、そこから必要経費が出て行きます。では、いったい手元にはいくら残るのでしょうか。そこが地主さんが一番気になるところで、営業マンもそれがわかっています。双方そこが知りたいのなら、最初からその説明だけで良いのではないか、そう思われる方もいらっしゃいますね。

 それがふしぎなことにパソコン上で、入力の数字を操作することで、地主さんが最も気にする月あたりの手残り金額を減らしたり増やしたりは、いとも簡単なのです。





 前提条件を吟味せずに結果だけで判断すること。地主さんにとってこれほど不確実なことはありません。営業マンの思うつぼです。では、なぜこんな商習慣がまかり通るのでしょうか。詐欺ではないかと思う方もいるかもしれませんね。建築会社や住宅メーカーが作成した提案書類には「参考として頂く為に作成したもので・・・(中略)・・・最終の収支については、再度、税理士、公認会計士などの専門家にご確認頂きますようお願い申し上げます」と堂々と責任の放棄をしているのです。

 そんなあやふやなものを、より確かなものにするために、ここでは仮に作った標準的な提案書をもとに、地主さんが、ぜひ確認したい重要なポイントをいくつか上げました。



 見本をごらん下さい。

 千坪の敷地に、建坪500坪の鉄筋コンクリート造りの5階建て建造物。1階が店舗、2階から5階が住戸の賃貸マンションを提案しています。建築費は3億円。賃料収入は毎月300万円です。








(1)   賃料アップ率毎年2%疑問

 初年度年間賃料2400万円/年(200円/月)が毎年2%アップで30年後には4262万/年(355万円/月)に。15年後でさえ3166万7千円/年(263万円/月)。30年後、老朽化したマンションから倍近くの賃料収入があることになっています。

 良心的なソフトなら、当初5年間は2%、6年目から30年目まで上がらない、と言うような設定になっているべきなのですが、ソフト自体がそんな設定をできない場合が多いようです。


(2)  

保証金の据え置き期間と返済期間、賃貸契約期間は連動していますか

 テナント部分の保証金は、一般に建設協力金と呼ばれるものです。テナントさんからあずかり、地主さんがテナントさんに返済します。

 例は2年間据え置き、8年間均等返済とありますが疑問です。現実には、契約期間内に均等返済が原則になっています。賃貸契約が15年なので据え置き0年、15年均等返済が妥当です。

 では、なぜこのようになっているのか。据え置き期間を作ると、その間の手残り金額が大きく見えるからです。また、返済期間が短いと地主が不利になることもお忘れなく。例では10年で建設協力金は返しきったのに、賃貸契約は残っているわけですから。建築協力金の返済が終わった11年目からは、店舗側にとって、いつ退出しても損はなし、と考えます。

(3)   想定金利4%の疑問、借入期間と賃貸契約期間は連動していますか

 次に資金計画の借入金の想定金利ですが、4%で固定ですね。この数字を2%にすると収支をすぐ良くなります。変動金利が実体なのに、ソフトは固定金利にしか対応していない。それがふしぎですね。

 借入期間と賃貸期間が同じになっているのかも、要注意です。「10年契約でテナントは出ましたが、15年返済で借金は残っています」そんな提案書になっていませんか。

(4)   敷金を「ただし、建築費に充当すると仮定する」の疑問

「1戸あたり100万円の敷金として20戸で合計2千万円。建築費のうちの2千万円はこれでまかなえます」あたかも現実にありえる気がしますが、敷金をあてにすると後々持ち出しになります。敷金は入居者の退出時に修繕費用を差し引き返還します。最近ではこの敷金の返金をめぐり入居者と大家さんで合意を得られないこともあり、問題となっています。返済不要の建築費として計上するのは、もちろん無謀。退出時の修繕費用も大家の手残りから捻出する理屈となり、とても良心的な提案書とは言えません。

(5)「仮定をもとにした計算したものもあります」の現実

 どこが仮定なのか、どの程度の金額が現実と異なるのかを聞くのも良いでしょう。



(6)   土地評価額の続税評価額・固定試算評価額の上昇率は年1%。永久に上昇するのかという疑問

 土地活用は相続税対策でそのメリットを語られることが多いもの。永久に複利で年1%上昇する仮定そのものが疑問です。

(7)   建物評価額の建物評価額60%の疑問             

 例では60%になっていますが、70から80%が妥当な数字です。この数字の意味は、「市役所の単価表をもとに計算した建築費は、見積り額の6割である」です。税金が安くて得したと思いましたか。視点を変えれば、建築会社の利益がたっぷりとのった見積り金額だと言えます。

(8)   維持管理費、委託管理費の計上金額の確認

ここは確実に支出となる項目なので、現実的な数字かどうかを確認します。特に賃貸マンションの場合は、実際にその計上予算で可能なのかを調べたいものです。





(9)開発負担金が0円。無料だから0円でなく、不明だから0円の不親切

 提案書作成の基本姿勢は、「わからないものはわからないのだからとりあえずで計上しておく」という場合が多いものです。「かからない」のでなく、「わからない」から0円なのです。これが1万円、2万円のことなら可愛いものですが、場合によっては500万円から600万円かかることを知っておきましょう。

(10)創業費償却5年は非現実的。実際は1年で払います

 見本の場合、創業費合計は740万円となっています。この金額には開発負担金は含まれてないことは先の説明でわかりましたよね。この費用、実際には、建物が建った最初の1年に、しかも現金で支払う必要のあるものです。税金や役所に払う費用なので建設会社に支払う建築費とは別のもの。つまり740万円に加え何100万円かわからない開発負担金を確実に現金で用意しなくてはならないということです。建築費以外にまとまった現金が必要なのです。

 この提案書に私が憤りを感じるのは、創業費に償却期間を設定できるように作られていることです。見本は5年で設定していますね。実際には初年度に必要な金額を計算上5年償却にする理由はどこにあるのでしょうか。

 その理由は、分割することで、初年度の手残り金を多く見せるためです。

(11)入居率100%、90%の疑問

 再重要ポイントがここです。入居率の設定次第でキャッシュフローは大きく変わります。見本の提案書は、非現実的な数字が入っていますね。しかも固定なので、賃料1に該当する部屋は30年間空室はなしの仮定で、この提案書が作成されているのです。

 創業費償却に年度設定をする手間があるのなら、最初の3年間とそれ以降の空室率を設定し直せる工夫があっていいのではないでしょうか。

(12)所得税・住民税を計算しない悪意

 これもわからないものは0円というルールです。「他に収入があるかもしれないので当方では計算できないので、算出しません」という姿勢です。所得税も住民税も当然、請求があります。こんな風に項目があり、しかも計算しませんとわざわざ書くことに、どんな意味があるのでしょうか。ちなみに、見本のケースでは所得税も住民税も最高税率になります。営業マンが一生懸命説明する手残り金額から、所得税と住民税が支払う前の金額であることをお忘れなく。

(13)その他の不動産所得0円。聞かなければ0円と計上の姿勢

 もうお分かりですね。項目を作り0円と書かれた項目を見て、「ここは持ち出しがないのだ」と思うのでなく「手残り金額からこの分を引いた分」とましょう。

 さあ、次が本番、いちばん気になるキャッシュフローの見方です。





…さて、次回は



【- 子孫に土地を残す3つの原則 -
3つの原則でチェック! ここがポイントです。提案書・契約書の読み方】

●損益計算試算表(キャッシュフロー)の見方



について、お話します。