お盆休みに、愛媛県石鎚山近くの瓶が森林道でサイクリングしてきました。
瓶が森林道は、”天空の道”と呼ばれてますが、
自転車で走っていると、空に向かって走っているような錯覚を覚えます。
「銭形砂絵」
「屋島」
それでは、前回の続きをお話します。
3つの原則でチェック 土地活用成功と失敗の事例】
●大家の思慮のなさで自滅! 食い合いをした飲食店
数字は経営の基本ですが、数字だけを見ていては、経営は決して成功しません。
千坪ほどの広い土地をお持ちの地主さんでした。その土地に複数の店舗を誘致しましょうというご提案をさせていただいたことがあります。
敷地内に異なる店舗があれば、駐車場に停めた車を移動させることなく、ついでの買い物ができお客さんは便利なものです。たとえば、スーパーマーケットでお肉や野菜を買った後、隣にドラッグストアがあれば、洗剤や化粧品、ああ薬も、と思い出し、ここでついでに買っておこうかという気分になるもの。これが相乗効果です。
何でも複数あれば便利かというと、この組み合わせがけっこう難しいのです。ラーメン店の隣に牛丼店を並べてはダメなことは、みなさんお分かりになりますよね。お客の取り合いになり、両方の店長さんにとっておもしろい組み合わせではありません。
テナント側も出店前にマーケティング調査したうえでの経営判断で出店するのですが、時々、おやっと思う店舗の組み合わせを見かけることがあります。その背景には、個別の事情が隠れているのですが。
話を千坪の敷地を持つ地主さんに戻しましょう。
ご希望の賃料は、月200万円でした。この敷地には、AとBの2店舗と契約がまとまり、月180万円の賃料が見込めました。しかし、地主さんのご希望の賃料には、あと20万円足りません。AとBはともに外食チェーンのレストランで、ひとつは和食、もうひとつは洋食中心の店舗でした。和食のあとに洋食というお客の流れはできないものの、今度はあちらのお店に行ってみようと、リピート客に選択の幅を広げる点など、組み合わせの妙としては悪いものではありません。
千坪の敷地にAとBの店舗。残り20万円の賃料を新たな3つ目の店舗を建てることでまかなうとすると、駐車場が充分にはとれない危惧がありました。利用するお客様にとっても、お客さまをお迎えする店舗の経営者にとっても、車を出し入れしやすく、食事時間のピークでもすぐに満車にはならない、ゆったりとした駐車場は嬉しいものです。行きたいと思うお客様も、「駐車場が狭いから車を止めるのがたいへんかも」という経験や気持ちから足が遠のくもの。駐車場のとり方は、繁盛する郊外型店舗のポイントです。
さて、地主さんは、どうされたかというと、毎月20万円の賃料を払える3つ目の店舗を見つけてこられました。それはラーメン屋さんでした。
千坪の更地は、和食、洋食、ラーメンの店舗が並び、さながら郊外のフードパークとなりました。さて、お客様に選択肢が広がったのでしょうか。先の2店舗の経営者や店長は、ラーメン屋の出店を歓迎したでしょうか。洋食のあとにラーメンも、和食のあとにラーメンも、その逆もありません。一緒に組めるメリットがないばかりか、客単価の安いラーメン屋に客をとられる危険もあります。3つの店舗で客のとりあい。ラーメン屋の店舗は大きなものではありませんが、駐車場はせまくなり、しかも食事のピーク時は一緒です。
3つの原則(3)繁盛する店を選ぶ、は地主にとって都合の良い店のことではありません。
出店していただく店舗が繁盛し、安定した経営で長期にわたり賃料を確実に払っていただくことで、地主さん自身の経営は安定します。店舗が繁盛するということは、そこに暮らす方に喜んでいただける店づくりをすることです。スーパーの横にドラッグストアを置く組み合わせのように「ここができて便利になったわ」と思っていただける店づくりです。
月20万円のためにラーメン屋を加えた地主さんは、先に決まっていた他の2店の経営者から信頼に足り得るパートナーと思っていただけるでしょうか。貸して商売させてやっている気持ちでは、決してうまく行きません。
実は私は、出店をお手伝いするテナントさんの業種を決めています。それは、たとえば年配の地主さんがお孫さんに自慢できるお店です。自慢までしなくても、説明できない、できたら隠しておきたいと思う業種はお手伝いしません。
単なる数字の操作で、経営を考えては失敗します。世のため、人のため、と昔の人は言いましたが、語り継がれる言葉には、教えられることがあります。
【- 子孫に土地を残す3つの原則 -
3つの原則でチェック! ここがポイントです。提案書・契約書の読み方】
●提案書・事業計画書の見方
について、お話します。