2015年2月5日木曜日

不動産コンサルティングマスター


 先日、「不動産コンサルティングマスター」の2度目の更新研修に参加しました。

 国土交通大臣の認定資格で、不動産鑑定士・宅地建物取引主任者、一級建築士のいずれかであることが受験資格です。

 家賃や価格で成否が決まる不動産仲介業ですが、”市場性”が問われるのが、不動産コンサルティングです。



それでは、前回の続きをお話しします。
---------------------------------------------------------------------------
【- 子孫に土地を残す3つの原則 - 
 想像できますか? 3年後、5年後、10年後のあなた

●建てた後、あなたはひとりで戦う 

「しまった」と気がつくのは、竣工後のある瞬間です。

 アパートでも、マンションでも店舗でも、建物という器ができた後は、その運営に関しては地主であるあなたが経営者。すべての責任を負います。
 しみじみと、あるいはじんわりと、そのことを実感するのは、建物が建った後のことが多いようですね。

 契約までは、何度も足を運び、投資とそのリターンについて何度も説明をしてくれた営業マンも、建物が完成して引き渡しが済めば業務完了。
 アパートやマンションの入居者の斡旋に不動産屋さんは、確かに世話をしてくれますが、満室にならないからといって、責任を負うことはありません。 
 よくあるのが、マンションの1階に店舗スペースを作ったものの、竣工後も入居テナントが決まらない例です。近所を歩いてみれば、1階店舗が埋まらずシャッターを閉めたままのマンションを簡単に見つけることができます。
 また、「あっ、ここはパン屋さんだったはずなのに」と以前入っていたテナントが撤退し、そのまま次のテナントが見つからず空き家になっているところも、きっと簡単に見つけることができるでしょう。
 そんな現実が身近にたくさんあるにもかかわらず、自分の土地の、自分の土地にだけは、入居テナントがあると信じてしまう地主さんが少なくないのです。

「話が違うじゃないか」と建築会社に文句を言っても、後の祭り。竣工後は建築会社が請負った業務はすでに完了しています。居住スペースより賃料が高いことから、1階はテナントが良いと同意したのは、地主であるあなた自身なのです。「空いたままじゃないか」と言っても、建築を請負っている建築会社には嫌味程度にしか聞こえません。

 完全に負け犬の遠吠えなのです。

 不動産屋に言えば、テナントを探してはくれるでしょう。「よし、任せておいてくれ」と調子の良い返事でも、あなたに対する義務も責任もありませんから、この時代、思うような賃料で入居してくれるテナントはすぐには見つからないかもしれません。

 さらに新築マンションだからといって、入居者が集まるとは限りません。土地の値段が右肩上がりの時代には、賃貸マンションを、一戸建てや分譲マンションを購入するまでのステップと考える人も多く、シングルマンションからファミリーマンションへと、転居する流れがありました。
 それが現在は、シングルマンションもファミリーマンションも、賃貸価格より分譲マンションの月払い額の方が安いという逆転状態にあります。「頭金不要、月々返済額を今お支払いの賃貸マンションの料金をくらべて下さい。絶対にお得です」というセールストークで新築分譲マンションが次々に販売される時代なのです。賃貸から分譲という流れは完全に崩れました。
 設備や仕様で分譲マンションに劣ることの多い賃貸マンションは、立地という利便性でしか勝負できなくなったといえます。

 あなたの土地は、利便性の高いほんとうに勝負できる土地でしょうか。
空室が出ても誰にも責任を問えない、それが賃貸アパートやマンションの経営です。
 さらに資金計画表で予想空室率と現実の空室率を確認すると、愕然とするかもしれません。現実的でない空室率は、収益を生むどころか、返済のために他から資金を補填しなければならない場合もありえるでしょう。
 自分の土地に建てたマンションの、その空室のために、自分の他の稼ぎを借金の返済に充てている人も実は世の中に少なくないのです。
「こんなはずじゃなかった」と思っても、建築費用のために借りたお金を返済しないかぎり、担保である土地まで手放すことになります。
 楽々大家さんのはずが、持ち出しして借金返済をするなんて馬鹿げた話です。その借金を返す先は銀行ですが、そもそもは建築費。「建設会社を儲けのために、何でこんなものを作ったのだろうか」と、悔しく思う人もあります。

 借金は、相続税対策になります。これは確かです。ただし、これが有効なのは、確実な返済計画があるときのみ。
 建設会社が描く資金計画書は、空室率は一定、賃料も一定です。そんな計画書を堂々と出すことに、建設会社がいかに無責任であるかと、私は憤りを感じます。

 マンションは建てた途端に古くなりはじめます。年々、空室率も高くなり、場合によったら賃料も下げなくてはなりません。しかも修繕費も必要となってきます。なのに、そんな項目を書く部分すらない提案書もあるのです。最初から、そんな計算はするつもりも、提案するつもりもないその姿勢に、その会社に信頼を寄せることはできるでしょうか。


・・・さて次回は、

【- 子孫に土地を残す3つの原則 -
 想像できますか? 3年後、5年後、10年後のあなた

●三年後、賃金協議に立ち会える業者ですか

について、お話します。


居抜き店舗のreTENPO
土地活用のTENPObe